日本人の食生活に欠かせない醤油は、日本で発展した発酵調味料です。醤油の起源は中国の「醤」(ひしお)がルーツですが、縄文時代後期には日本でも作られていた、大変古い歴史と伝統に育てられ伝わる天然発酵食品調味料です。
日本の醤油には、漬物の原型となった野菜や果物などを発酵させた「草醤」(くさびしお)、塩辛の原型となった魚貝類を発酵させた「魚醤」(うおびしお)、鶏や獣の肉を発酵させた「肉醤」(ししびしお)、味噌や醤油の原型となった米や麦・大豆などの穀物を発酵させた「穀醤」(こくびしお)、の4種類があり、日本の醤油文化の発展を支えています。
近代食生活の中で、醤油といえば大豆を原料として作られた大豆醤油が広く普及し、一般家庭にいたるまで調味料として使われ、食生活の必需品となり定着しています。歴史的には「魚醤」「肉醤」「草醤」が古く、「穀醤」は奈良時代になってから作られましたた。大豆を原料とする大豆醤油が作られるようになり飛躍的に大豆醤油が発展しました。
魚貝類を原料とする「魚醤」は、魚貝を塩のみで漬け込み、1年以上数年間発酵させて造る、天然の発酵調味料です。魚貝類の動物性タンパク質が分解されて出来る、アミノ酸とペプチドを豊富に含むため濃厚な旨味成分を多く有しており、少量でも旨味を最大限引き出す調味料としてプロの料理人などに広く普及し、近年は一般家庭にも広がり需要がますます増加しています。
古い漁村まちには、漁師まちに根づいていた食文化として伝統的な「魚醤」があり、原料となる魚貝類や製造方法もさまざまですが、全国各地に普及していました。大豆醤油の普及や食生活の変化などにともない、全国的に親しまれていた「魚醤」の製造が激減する結果となりました。しかし、近年、また、「魚醤」が自然食品調味料として見直され、各地で復活・開発され、万能調味料といわれている「魚醤」の普及が広がり始めています。
アジア圏の魚醤は、中国・韓国を始東南アジアで万能調味料として広く普及し、食べ物の味付けに古くから使用されています。
タイの「ナンプラー」、ベトナムの「ニョクマム」、フィリピンの「パティス」などは、東南アジアでは主要な調味料として広く普及し使用されています。アジア圏の魚醤は、簡素な製造工程により、大量に生産されるものが多く、魚特有の強い香りを有し、塩分の高い製品が多く、日本人には味や香りの面で、好みが分かれているようです。
ヨーロッパ圏の魚醤の歴史は古く、古代ローマ帝国時代に「ガルム」「リクァメン」と呼ばれる魚醤が存在し、「ガルム」の工場跡がボンベイ遺跡で発見されいる。また、紀元前1世紀頃の料理書の中には、世界最古の調味料として、魚醤の作り方や魚醤を使ったレシピが記されています。
古代ローマ帝国時代から伝わる魚醤は、トルコ・リビア・スペイン・南フランスなどで、工場生産され各地に供給されています。また、イタリアの魚醤が原型といわれる「アンチョビソース」も各地に広く普及しています。「ウエスターソース」の主原料は、ウエスターシャ原産の魚醤とモルトビネガー・スパイスをブレンドしたものとして知られ、イタリアの魚醤文化も各地に普及しています。